アトピー性皮膚炎とは
皮膚のバリア機能が弱い人や、アトピー素因(家族にアレルギー疾患にかかった人がいる、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など)を持つ人に見られる、皮膚の炎症を起こす病気です。
症状は痒みと湿疹で、憎悪と軽快を繰り返し、なかなか治らないことが特徴です。
幼児期(乳児期)から発症し、ほとんどが小児期に落ち着きますが、成人になっても持続することもあります。
また、大人になってから急に発症することもあります。
人に移るの?
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質が原因で発症します。
そのため、移る事は絶対にありません。
治療方法
アトピー素因は一生持つもので素因がなくなる事はないため、疾患そのものを完治させる方法はありません。
したがって、治療の最終目的は寛解(治療が必要ない状態を長く続けること)する事です。
そのため、治ったと思っても再発の可能性は大いにあります。
そのことを踏まえた上で、①スキンケア②薬物療法③予防が治療方法となります。
スキンケア
アトピー性皮膚炎の人の肌は、バリア機能が低下していて、乾燥や炎症を起こしやすい状態です。そのため、洗浄と保湿を正しく行い、肌のバリア機能を正常に近づける必要があります。
- 洗浄
・石鹸はしっかりと泡だて、タオルなどは使用せず手で洗います。
(タオルなどを使用すると肌を傷付けるため、背中など手が届かない所 のみにした方が良いです。)
・汗をかきやすい所(関節など)も、洗い残しがないようにしっかり洗います。
・石鹸が残らないようしっかり流しましょう。
・拭く時は、押さえるようにして拭いて下さい。
(石鹸がちゃんと流れてなかったり、拭く時にこすってしまうと、刺激になってしまいます。) - 保湿
・入浴後すぐ、肌をこすらないようにたっぷりと塗ります。
(ベタベタするくらい塗りましょう。)
・症状が落ち着いてからも保湿を続けることで、再発の予防にもなります。
薬物療法
主に、ステロイド外用薬を使用します。
副作用について心配される方もいますが、多くの研究によって効果と安全性が示されているため、ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療薬として推奨されています。
また、ステロイド外用薬の副作用は正しく使用すれば避けられます。
一時的なものとして、ニキビができたり、皮膚が薄くなったりしますが、中止すると回復します。
自己判断で中止してしまうと、逆に悪化させてしまったり、薬が効きにくくなってしまいます。
ステロイドの副作用やリバウンドを防ぐために、医師と相談しながら正しく使用しましょう。
予防
アトピー性皮膚炎はさまざまな要因が重なってあらわれるため、原因を100%除去することは難しいです。
そのため、予防をすることと、症状が出た時に正しくステロイド外用薬を使う事が大切です。
予防として、症状がなくても保湿をするようにしましょう。
また、症状が落ち着いても自己判断でステロイド外用薬はやめず、医者からやめても良いと言われるまでは、出された分は使い切るようにしましょう。
ステロイド外用薬で色素沈着するの?
結論から言うと、しません!
ステロイド外用薬で色素沈着(皮膚が黒くなる)が起きると誤解されてる方が多いようですが、色素沈着を起こす原因は疾患の方にあります。
ステロイド外用薬は逆に色素を薄くする作用があり、強いものを長期的に使用した時に色素脱失(皮膚が白くなる)を起こす可能性があります。
ステロイド外用薬で皮膚疾患が落ち着いた時に一時的に黒くなることがありますが、それはステロイド外用薬ではなく疾患が原因であり、数年すると落ち着きます。
しかし、炎症や引っ掻き傷が酷い場合は残ることもあるため、炎症を悪化させないように早いうちから炎症を鎮めコントロールすることによって、色素沈着を避けることができます。
私も長年使用してきましたが、色素沈着を起こしたことはありません。
しかし、副作用があることも確かです。
医師と相談しながら、上手に使用しましょう。