橋本病とは
自己免疫疾患の1つで、男性よりも女性に多い病気です。
甲状腺に慢性の炎症が起こるため、慢性甲状腺炎とも言われます。
橋本病の甲状腺には、多数のリンパ球が侵入しており、甲状腺細胞を破壊します。
破壊により、甲状腺ホルモンの生産や分泌ができず、甲状腺機能低下状態となります。
しかし、甲状腺機能低下症となるのは10%程度と言われており、症状がなければ特別な治療は必要ないとされています。
↓は橋本病とは真逆のバセドウ病についてです。

甲状腺ホルモンとは
全身の臓器に作用し、代謝を促す働きを持ちます。
自己免疫疾患とは
免疫は、細菌やウイルスなどから体を守るために抗体を作ります。
しかし、何らかの原因で自分自身の体の組織を外敵とみなし、攻撃する抗体が作られてしまう病気です。
『関節リウマチ』や『膠原(こうげん)病』は、よく知られている病名だと思います。
これらも自己免疫疾患の1つです。
原因
原因はハッキリしてませんが、ストレスや過労、出産、喫煙、(海藻、薬、造影剤などの)ヨードの過剰摂取などと関連があるとされています。
また、橋本病自体は遺伝しませんが、身内にいるとなりやすい素質になるようです。
症状
- 甲状腺の腫れ
- 寒がり
- 低体温
- 無気力や疲れやすさ、眠気
- 食欲低下
- 体重増加
- むくみ
- 便秘
- 月経過多
- 皮膚の乾燥
- 脈が遅くなる
- 筋力の低下や肩こり
- 抜け毛や汗の減少
- 物忘れ
など、新陳代謝の低下によってさまざまな症状がでます。
また、検診などの採血では『コレステロール高値』『肝機能障害』『貧血』などの異常がでます。
検査
基本的に、診察と血液検査です。
診察では、症状を詳しく聞き、甲状腺の大きさを触診にて調べます。
また、超音波検査にて甲状腺の大きさを詳しく調べることもあります。
血液検査では、甲状腺ホルモン(FT4、FT3)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)のバランス、抗甲状腺抗体(TgAb、TPOAb)の有無を調べます。
橋本病の場合、甲状腺ホルモンが低値、甲状腺刺激ホルモンが高値、抗甲状腺抗体が陽性となります。
治療方法
橋本病でも、甲状腺機能が正常値であれば治療の必要はありません。
甲状腺機能低下症の場合に甲状腺ホルモン薬(チラージン)にて、甲状腺ホルモンを補充します。
なお、妊娠中などの場合は正常値であっても内服治療をすることがあります。
甲状腺ホルモン薬の副作用
発疹やかゆみ、胸の痛みや圧迫感、狭心症、だるさや食欲低下、肝機能障害や黄疸、低血圧、副腎クリーゼなどがあります。