自律神経失調症とは
本人の意思とは関係なく、呼吸・血液循環・体温調節・消化・排泄・免疫などの機能を、24時間調節し続けているのが自律神経で、生命維持には欠かせません。
『自律神経失調症』は『病名』ではなく、『交感神経(体の活動時や昼間に活発になる)』と『副交感神経(安静時や夜に活発になる)』のバランスが崩れた『状態』を意味します。
主な原因
- 寝不足や疲れ、不規則な生活
- 偏った食事
- 環境の変化
- 職場での人間関係やプレッシャー
- 光や音、温度などの身体的ストレス
- ホルモンバランス(女性ホルモン、甲状腺ホルモン)
などのさまざまなストレスによって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
症状
身体的症状
- 動悸や息苦しさ、多汗
- 吐き気、下痢や便秘
- 頭痛や耳鳴り
- めまいや立ち眩み
- 味覚障害
- 手足の震えやしびれ
- 微熱や疲労感、だるさ
- 食欲不振
精神的症状
- 不安感や落ち込み
- 眠れない
- 気力・集中力の低下
- イライラ、怒りっぽい
- 情緒不安定
自律神経失調症と関連が深い病気
高血圧、起立性低血圧、不整脈、狭心症、喘息、心因性嘔吐、慢性胃炎、偏頭痛、緊張性頭痛、バセドウ病、橋本病、糖尿病、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、円形脱毛症、多汗症、口内炎、摂食障害、睡眠障害など。
自律神経失調症は、このような体の病気として治療されていることも少なくありません。
種類
自律神経失調症には4つのタイプがあります。
心身症型自律神経失調症
几帳面・まじめ・努力家などの性格の人がなりやすく、自律神経失調症の中で一番多いタイプです。
日常生活のストレスが原因で、心身ともに症状があらわれます。
本態性自律神経失症
自律神経の調節機能が元々乱れやすいタイプです。
虚弱体質の人や低血圧の人など、子供の頃から持っている体質そのものが原因です。
病院で検査しても異常が見られず、日常生活のストレスも他のタイプほど関与しません。
神経症型自律神経失調症
心理的な影響が強く、感受性が豊かな人にみられるタイプです。
自身の体調の変化に敏感で、感情の変化が体にあらわれるため、少しの精神的ストレスでも体調を崩します。
抑うつ型自律神経失調症
心身型自律神経失調症が進行したタイプです。
気分が落ち込んだり、やる気がおきないなどの『うつ症状』がみられます。
自律神経失調症とうつ病の違い
上記に書いたように、自律神経失調症は『状態』であり『病名』ではありません。
うつ病でも自律神経症状はよくありますが、うつ病の場合は自律神経失調症とは診断されません。
落ち込みの原因はさまざまで、原因がハッキリしない場合は『状態』である、自律神経失調症と診断されることもあります。
うつ病はストレスの蓄積により精神エネルギーの低下が一定のレベルを超え、病的に落ち込みがひどくなってしまっている『病気』です。
自律神経失調症『状態』のまま頑張り続けると、いつかエネルギーがなくなってしまい『うつ病』へ発展してしまいます。
治療方法
生活療法
- 生活リズムを整える
- 食生活を整える
- 運動をする
- カフェイン、酒、タバコを控える
精神療法
カウンセリングにて、ストレスとの付き合い方や自己理解を深めます。
薬物療法
精神安定剤、抗うつ薬、睡眠薬などによって症状を緩和します。
また、うつ病では『磁気刺激治療(TMS)』という薬に頼らない新たな治療法もあります。
この治療法は、頭部に磁気を当てることで、機能低下した脳の働きを回復させうつ病を改善させます。